アベノミクスの恩恵にわく人々がいる一方、年金受給者の方々ははたしてその恩恵を受けることはできるのだろうか。
昨年11月に成立した年金改革法により、年金受給額は今年10月に1%、14年4月に1%、15年4月に0.5%引き下げられる。これは、過去の物価下落時に年金額を引き下げず据え置いた特例の解消が目的だが、年金受給者の方々の負担は大きいものである。ここにアベノミクスによる物価上昇、消費増税が加わると一層年金受給者の方々の負担は増大する。
4月23日、「1票の格差」を是正するために選挙区の議員定数を調整する、いわゆる0増5減案が、衆議院において可決された。「1票の格差」是正は、昨今の高裁判決などもあり喫緊の課題である。しかし、はたして「1票の格差」是正のみでいいのであろうか。今の与党には議員定数削減への本気度が見えてこない。
負担増をお願いする以上、その大前提として議員自らが身を切る議員定数削減は当然である。昨年11月に当時の野田総理と自民党安倍総裁の党首討論においても、野田総理の強い思いもあり、0増5減と共に議員定数削減を行うとの約束がなされた。しかし、政権交代後、安倍政権は議員定数削減に消極的な姿勢が目立つ。また、社会保障制度改革も進んでおらず、年金制度の抜本的改革は道筋が見えない。
安倍総理はアベノミクスの光の側面ばかりを強調するが、年金受給者の方々などに負担を課し、格差を一層拡大させている陰の側面も、我々は指摘し続けていく責務がある。
参議院議員 榛葉賀津也