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■わかる中東Q&Aはこちら>
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多感な20代の前半を、大学生・大学院生としてイスラエルで過ごした。イスラエルの友人が徴兵に行き命を落としていく一方で、パレスチナの友人は体を張って抵抗していた。彼らの姿を見て、どちら側に立つということではなく、なんとかしてこの問題を解決したいという思いにかられた。
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イスラエルは、ヨーロッパとアジアとアフリカのちょうど接点にある。首都エルサレムは、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教という世界三大宗教の聖地でもある。そして、この地の抱える「パレスチナ問題」すなわち「中東和平問題」は、9・11同時多発テロやイラク戦争を見るまでもなく、中東だけでなく、アジアや欧州、米国などの世界各地に蔓延する「紛争」や「テロ」のひとつの大きな根源になっている。
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そして、その中東に日本は、石油輸入の86%を依存している。日本中がトイレットペーパーを買いあさった1974年の石油危機の時でさえも依存率は74%だったことを考えると、エネルギー政策を語る上で、中東の存在は余りにも大きい。加えて、世界の約13億人(5人に1人)がイスラム人口であり、そのイスラム教徒の大多数が中東ではなく、インドネシアを始めとする私たちと同じアジアの住民であることを忘れてはいけない。歴史的、政治的に欧米に懐疑心を抱いているイスラムの民や中東の国々は、日本経済にとってかけがえのないマーケットでもある。
しかし、である。その中東地域と日本の「距離」は遠い。「中東は複雑だ」「中東は難しい」多くの政治家が、中東外交を日本の外交のセカンド・プライオリティーにしてきてしまった背景は、そんな中東への歴史的、宗教的、政治的、精神的な遠距離感に起因しているのかもしれない。しかし、日本とイスラエルの地理的な距離は約9200キロ。実はこれは、日本と米国の中西部都市との距離と同じくらいなのだが、その距離感は歴然としている。
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まず、日本人一人ひとりが海の向こうの遠い出来事ではなく、自分たちの生活に直結した問題だという意識をもつこと。
次に、日本として経済活動やODAを通じた具体的なアプローチをしていくこと。その際に、民主主義を前面に押し出す欧米的な方法論だけでなく、日本独自の特性を生かした手法を取るべきだと肌で感じた。中東は、確かに利害と経緯が複雑に絡み合っている。そしてその分、誤解や距離感も積み重なっている。そこに特殊な歴史を持った日本が入っていくことによって、できることはずいぶんある。
例えば、ODA支援ひとつとっても、日本のJICAとイスラエルのMASHAVが協力して、パレスチナのインフラを整備していくなど、三者協力の形を具体化していくことだっていい。誤解やねじれを解いていく役割は、中東の地で日本ができるユニークなアプローチだと思う。背伸びせずに誠意をもって一歩一歩進むことだ。
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日本のエネルギー政策だけでなく、安全保障政策や経済政策を考える時、バランスの取れた中東外交は、日米関係や対アジア政策同様に、我が国外交の重要課題であることはいうまでもない。ぶれない歴史観や宗教観を機軸に、この地域の多様なアイデンティティーをもった人たちと正しい人間関係、国家間関係を築いていくことが求められている。私は、イスラエル・パレスチナでの3年間の生活と、そこで培った人間関係を基に、この国の政治家として中東問題をライフワークとしたい。
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