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2004/10/21
「イラク副首相一行との会食で垣間見えたもの」 10月15日夕刻、イラク復興支援信託基金(IRFFI)ドナー委員会のために来日していたイラク暫定政権のサーレム副首相とハーキム通信大臣、並びに駐日イラク大使館のジュマイリ大使に面会し、イラク復興支援策と日本の役割などについて意見交換をした。 彼らは全身からエネルギッシュなオーラを発しており、国家再建へ向けての“やる気”がひしひしと伝わってきた。 暫定政権のポストに就いているこれらの人物達はフセイン政権下では“冷や飯”を喰わされてきた者達だ。多くが海外に逃れてもいた。フセイン政権の崩壊によって、やっと陽の目を見た彼らが、強い親米感情を持っていることは言うまでもない。新政権樹立後もそれぞれの政治ポストに就けることに期待を寄せている人も少なくないだろう。つまり、新生イラクの“国づくり”は国家建設と同時に一部の人間にとっては“国盗り物語”であり“権力闘争”でもあるのだ。イラクの再建や治安を語るとき、これは忘れてはいけない点だ。 暫定政権に携わるイラク人の多くは、欧米で西側のレベルの高い教育を受けている。訛りのない英語を完璧なほどに操る。それは、今回の代表団も例外ではなかった。彼らは会食で出された日本料理を器用に箸を使って食していた。アルコールも問題なく飲むのだという(この時はダイエットコーラを飲んでいた)。つまり、暫定政権の中枢にいるイラクの新しいリーダーは、相当恵まれた生活水準の人々で、そういう生活環境で暮らしてきた方々なのだということを認識する必要があるだろう。 問題は、彼らが本当にフセイン時代を耐え抜いてきた一般イラク人の気持ちを理解できているか、ということ。更には、新しいイラクの代表として本当に国民から認知されているか、ということだ。 現在のイラクで反政府組織によって行なわれている“破壊活動”はすべてが旧フセイン支持者やイスラム原理主義者などによる“テロ”と言う訳ではない。実は“テロ”と呼ばれている反政府活動の多くが、“国盗り物語”の別の岸にいる者たち(政権に入れない政治勢力)によるものであったり、現在の為政者に対し「なぜお前たちだけが美味しい思いをするんだ!」という不満を抱いている者たちによるものであったり、米国主導の建国のあり方に憤懣やるかたない感情を抱いている者たちによるものであったりしている。 代表団の一人は、イラクの治安の悪化に対しては「これはテロとの戦いだ」とブッシュのセリフをそのままリピートして訴えていた。しかし、テロ行為とレジスタンス(抵抗運動)が混在している現状で、すべての事案を十把一絡げに“テロ”とし、米国の更なる関与を求めることは事態を更に複雑化、混迷化することは明らかだ。 イラクの治安回復へのポイントのひとつは「石油を握る者が権力を握る」というイラクの特徴にどう対応できるか、という点ではないか。民主化と平行して如何に富と権力の分配を保障していくのか。部族社会のイラクでキメ細かい自治の分配を如何に実現するのか。イラク暫定政府はあっても、治安や石油といった肝心な分野を米国が押さえている現状をどう打破できるか・・・ 国連をはじめとする国際社会のプレーヤーの役割が改めて問われてくる。周辺のアラブ諸国や仏・独・露・中といった米国以外の国々が、自国の官民の力を使って関与できる内容、余地について今まで以上に真剣に模索し、イラク内の反政府勢力の尊厳を認めうるルールの構築に智恵をしぼりながら、「米国と石油」の切り離しについても何らかの形で考えていく必要があるのではないか。 |
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